コーチングの価値は何なのか?無形サービスについて考察する

普段プロのコーチとして、コーチングを提供する側でありながら、実際にクライアントとしてもコーチングを受ける立場で、コーチングという無形サービスについての価値を考えてみたいと思います。

目次

コーチングは「無い」サービス?

私自身、「コーチングとは何も与えてくれません。でも、何でも手に入ります。」という複雑な表現をしていますが、コーチングはコーチが問題解決の手段(ソリューション)を提供してくれるサービスではありません。

もちろん、時にはクライアントが「これ、どう思う?」という問いかけを投げかけてくることもありますが、本来的には多くのコーチは「あなたはどう思うの?それはなぜ?」とか「なぜそれを私に聞いてみたいの?」とか「私に聞くことがどういう風にテーマと繋がっているか?」そんな質問を質問で返すようなことをするかもしれません。

もう一つ別のパターンとしては「あくまで私の私見だけど、私はこう思うよ。」というコーチ自身の見解を伝えた上で、そこからの話の展開をしていく事もあると思います。

このように、コーチングには決まった答えのない対話が殆どで、そこから何が生まれるのか、コーチ自身も分かっていません。
ある意味で、「形が無い」という情報系の無形サービスよりも、一段と「無い」サービスなのかも知れないと、この記事を書きながら思っています。

「無い」からこそ想像を超える

ところが、この「無い」という事が非常に大きな価値の要因(ファクター)になっていることを、先日自分がクライアントとしてセッションを受けている時に気づいてしまいました。

「有る」ものって、それが全てで、受け取れるものや手に入るものが、見えていると、どうしてもそこに自分でも限界点を作ってしまいますよね。もちろん、冷静に考えれば、そこから得られる全てを手にした上で、自分なりの気づきや解釈が無い、ということはないので、ちゃんと枠組みを超える価値が存在するのですが。

これが「無い」ことによって、クライアントもコーチも自由に対話し、かなりストレッチの聞いた思考をすることが可能となります。
ストレッチというと、まだまだ「有る」ものの延長というイメージですが、実際のところは、思いも寄らないところから、突拍子もない結論に辿り着くことさえあるのです。

「ずらす」コーチングのアプローチ例

コーチングには、様々な「ずらす」アプローチが存在しています。コーチが意図的に、クライアントの思考の変化を促進するために投げかける質問を工夫しています。

時制をずらす(タイムシフト)

既にそれが実現している未来に立って物事を考えてみたり、過去に戻ったり、時間的制約をずらすことで、現在の目標や課題に対する新しい洞察を得ることを促します。「ヒーローインタビュー」などもこの手法の一例です。

視点をずらす(リフレーミング)

リフレーミングは、物事を異なる角度・思考で捉えることで、新たな理解や解釈を得ることを期待する手法です。人は多かれ少なかれ、「自分」というフィルターを通して世の中を見たり、思考したりしています。コーチはクライアントがどのようなフィルタを通して世の中をみているかを捉え、しかしそれをジャッジすることなく、ただ単にのそのフィルタを外してみると見える別の世界の存在を示してみます。
その上で、クライアントがどんな事に気づくのかであり、決して外の世界が良いわけではなく、自分のフィルタの中にあるものの確信に繋がったりもします。

条件を撤廃する(リムービング・リミテーション)

先に紹介したタイムシフトやリフレーミングも結局はこの条件撤廃の一部なのかもしれませんが、これらの根底にあるのは「クライアントの柔軟な発想・思考を促す」ということです。いろんなしがらみや、固定観念、既成事実などにより、人は意外と簡単に自分の世界を小さく纏めていることに気づけます。

ドキッとした実例

私がクライアントとしてコーチングのセッションを受けている時の実例です。私は自分のコーチングプログラムについて、今後の展開について考える時間としてそのセッション時間を使っていました。半年間で約50万円のプログラムについて話をしていた時にコーチが「ゼロが1つ多いとどうだろう?半年間で500万円のプログラムを提供して欲しいって言ってくれるクライアントってどんな人?」って質問が飛んできました。

この質問は、「そのタイミングの私」という、前後のコンテキストがあるからこそ有効な質問だったのですが、私にとって滅茶苦茶頭の中が掻き回されるひと言だったのです。

中には「いやいや、そんなサービス無理でしょう」とか「そんな人居ませんよ」と端からその質問を受け取れない状態の人も居ると思います。でもコーチが質問を投げかける時、コーチはクライアントが受け取れることを信じて投げています。

私にとって、これは「金額」の問題ではなかったのです。それくらいの感覚でサービスを提供して欲しいっていう人と、半年で50万という現実的な化価格のサービスを買う人との違い、そして私自身が自分の枠の範囲の中で「対価」や「価値」ということを考え、自分の物差しで物事を測っている、という点について考える切っ掛けを与えてくれました。

そして自分の周りには「ひょっとしたら自分が本気でそういう価格帯のものを作ったとしたら、真剣に考えてくれるような人がいるかも知れない(いや、ほぼ妄想の世界ですよw)」という思考ができるだけのふてぶてしさを身につけていたからこそ、この質問を価値ある質問として受け取れたのかもしれません。

コーチングの価値

ここまでのお話で、およそコーチングの価値の半分はお話したかと思います。

残り半分は、これらの気づきに対して「実際に行動する」ということです。
もちろんコーチングでの気づきに対して、行動するかしないかはクライアントの自由です。

でも、クライアントの気づきの多くには「本当はやりたいこと」が含まれていると思っています。(これは偏見ですので、私はセッション中に押しつけないように注意しなければならないのですがw)

ただ、少なくとも「クライアントが望む」ことに対して「行動できない」もしくは「抵抗がある」状態の場合、それらを一歩でも前進させるための対話を行います。人間は基本的には変化を嫌う生き物です。「現状のままで居たい」「でも変わりたい」こういう葛藤を持っていて自然です。自分ひとりであれば、自然な流れに流されがちです。

そこに「コーチ」という第三者が現れ、コーチとクライアントとの間で「言語化」することにより、クライアントは自分の発言に対する責任と義務を発生させ、行動しようとするのです。

「するしないは自由」と表現すると、少し投げやりな感じで、クライアントも「そんな風に言われると、高いお金払う価値があるんだろうか」という感情が生まれてくると思います。「義務感から動かざるをえない」という状況も嫌な感情かもしれません。

ここにもコーチングの醍醐味がチラリとしていて、記事を書いている私の方は勝手に妄想してニヤニヤしていたりするのですが、セッションを通じてクライアントさんは「やらねばならぬ」から「あ、そっっか。やるんだ自分。」っていう風に思える瞬間が必ず来ます。

でも、その瞬間が来てもまた、グルグルとするのが人間です。そこで分かった風、できた風になって成長を止めるか、一歩ずつ動き続けるか。
そういう意味では、コーチが一番コーチングの価値を理解していて、日々一歩ずつ動くことを体現していたいと思います。


徹楽ライフコーチありちゃん

1981年、兵庫県尼崎市生まれ。

現在はコーチングをメインとした個人事業を中心に、自身のお金についての基盤を固めるために、法人も経営。
年4
回・新月に開催する沖縄リトリート「原点回帰の旅」を通じて、仕事と楽しむことを両立。

自身の経験を元に、現実と理想のギャップに悩む人、もう一歩ステージアップしたい人を対象に『楽しむ事に徹する』をモットーに、徹楽(てつがく)ライフコーチとして活動中。

@lifecoach_arita

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